Dec 11, 2020

6FQ7 Audio Power Amplifier #2 (6FQ7オーディオパワーアンプ電気性能編)

 1.概要

6FQ7オーディオパワーアンプの設計からだいぶ経ってしまいましたが、設計した6FQ7ステレオ・オーディオ・パワーアンプの電気性能がどのようなものか測定してみました。
測定項目は基本的なところで、
(1)DC特性
(2)入出力特性
(3)歪率(全高調波歪)
(4)周波数特性
です。残留雑音、混変調歪、ダンピングファクターについては測定出来ませんでしたが、スピーカーを鳴らしての聴感でお茶を濁すことに・・・ま~、アマチュアのやる事ですから・・・(笑)単純な作業が延々と続くのでグラン・パーソンズを聴きながらのながら作業・・・(超笑)
(注)グラン・パーソンズ・・・日本人で彼を知っている人はあまりいないと思う。カントリーロックという新しいジャンルを切り開いたハバード大卒の秀才ですが26歳の若さで麻薬の過剰摂取で亡くなっています。2000年を前後して「カントリーロックの逆襲」(コンピレーションアルバムです)というCDが何枚も発売されましたが、今や廃盤となっていて入手は不可能なようです。

2.測定環境
電気性能測定の環境を次に示します。


なんちゃって自動測定・・・コンピューターによる自動測定と言いたいところですが、殆ど手動です・・・(笑)

3.DC特性
電源電圧と真空管各電極の電圧・電流の実測値を次に示します。


かなり設計値からずれてますが、±10%以内なのでこのまま進めます・・・ま~特性の揃ったペアチューブなんてのが売られているところをみると、これ位のばらつきは想定内かと(笑)。ただ真空管の特性から考察すると、L-chはR-chに比べるとグリッドバイアスが浅いのでゲインが高くなり早く飽和する特性になると考えられますね・・・

4.入出力特性
オーディオアンプ入力に自作のDDS(オーディオ周波数シンセサイザーです)から単一周波数の正弦波を入力しオーディオアンプ出力に接続したダミーロード(4オームの疑似負荷)両端の波形を帯域200MHzのディジタルオシロスコープで読み取りFFT(高速フーリエ変換)後の高調波を含めたレベルを記録します。その結果を解りやすく纏めたのが次から示す図です。
R-チャンネル

L-チャンネル

予想どおりチャンネル間のレベル差は2dBありますが人間の耳ではほとんど差は感じられません。1dB圧縮ポイント(1dB compression point)はR-chが入力0.42Vrmsの時で出力が0.30Wです、L-chは入力0.35Vrmsの時で出力は0.30Wです。これらは設計時に求めた最大出力電力とほぼ一致します。

5.歪率
FFTで求めた高調波のレベルと基の波形とのレベル差から歪率を計算してグラフ化したのが次の図です。
R-チャンネル
L-チャンネル

歪率は最大出力レベル0.25Wまで5%以下とかなり優秀?です。入出力の直線性(リニアリティ)もかなり良く直線性に起因する高調波(ハーモニックス)や混変調歪はかなり少ないと言えます。

6.周波数特性
定格の入出力条件でアンプの周波数特性を測定した結果を次に示します。低域の遮断周波数はL-chが51Hz、R-chが45Hzで前作の12BH7Aパワーアンプよりわずかですが低域が広がっているのが分かります・・・出力トランスのメーカーを変更した効果があったと思われます。高域の遮断周波数は両chとも50kHzとミニパワーのアンプとしてはそれなりの性能です。フラットな帯域は100Hzから20kHzということで、低域側にやや不満がある特性ですが、このサイズのアンプとしてはこれが限界のような気がします。更なる改善のためにはもっとハイパワーなアンプと取り組む必要がありそうです。


【重要補足】
低域の遮断周波数の差が気になっていたのですが、この差はただ単にL-chの信号が飽和気味であったためと思われます・・・入力レベルをあと4dB下げて49dBmVの入力で測定すればほぼ同じ周特になったと思われます(低域の遮断周波数45Hz)・・・陳謝。

次回は機械性能について解説したいと思います。

【御参考】









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