1.概要
久し振りに設計した12BH7Aステレオ・オーディオ・パワーアンプの機械性能その他雑多なことについて纏めてみました。
機械性能の基本的なところで、
(1)質量
(2)筐体加工図
(3)実装
(4)熱設計
(5)部品表
です。続けて何台か作る時のことを考えて纏めておきました。
2.質量
あいにく、この程度の質量を正確に測る秤の手持ちが無く(料理用の秤ならあるんですけどね・・・)体重計を持ち出してきて量りました・・・なので精度はないかも?
質量:約1.6kg
これ、結構な質量です。なにしろ鉄の塊・・・トランスです・・・が3個も付いていますから・・・。でもこんなので驚いてはいけません、音の良さを追求している人は馬鹿でかいトランスを使っていますし、高級なプロ仕様のアンプは電源トランスを含めた電源部の部品が筐体の半分以上を占めていますから・・・(驚)。
3.筐体加工図
ケースはリードのPL-2を使いました。加工は下記のとおりですが一部現物合わせの箇所があります・・・高密度実装の為です。
底板の加工図
(注)4隅の穴は取付脚用。真ん中の6つの穴はベンチングホール。
4.実装
実装のポイントは次の3つです。
(1)グランドは出来るだけ1点グランドとする
(2)電流ループは出来るだけミニマムとする
(3)電源トランスと出力トランスは必ず磁束がカップリングしない様に配置する
以上を考慮した実装状態を次に示します。
電源部の出力コンデンサのマイナス端子の直近に太い銅線で作ったグランド・バーG0を設けて、そのバーを1点グランドとし各増幅回路のグランド(G2、G3、G5、G6)をそこに結線します。入力端子のグランド(G1、G4)はそのままでシールド線の他端はグランドに落としてはいけません(余計なグランドループが出来る為です)。ここは殆ど電流が流れないのでG0に結線する必要はありません(余計なグランドループが出来る為でもあります)。+Bの配線とリターン線(グランド線)はツイストペア構成とし、電流ループを出来るだけミニマムとします。真空管のフィラメントへの配線は密着した平衡2線で結線し、極力他の部品とのカップリングを避けるためシャーシーの端を通します。次に、電源トランスと出力トランスの位置関係を示します。
実際には出力トランスは筐体上部の外側に、電源トランスは筐体内部に実装されます。図のように電源トランスの漏れ磁束が出力トランスの線輪(トランスの巻き線)と磁気結合しないよう配置します。もし、電源トランスを90度立てた状態にすると漏れ磁束が線輪を通過してカップリングし電源ハム(ブーンという50Hz又は60Hzの音)が出力に漏れることになり、スピーカーから残留雑音として聞こえます。
以上の処置を施せば、無入力でボリューム最大にしてもスピーカーからは何も聞こえないはず・・・これ絶対に確認してください。(正確には測定器で測る必要がありますが、私の手持ちの測定器では測定不能でした・・・測定器がしょぼいからでもあるんだけど(笑))。
5.熱設計(ベンチングホール)
詳細に計算したわけではないので設計とは言えないのですが、ケース内部の熱を逃がすために底板にベンチングホールを設け、ブロックコンデンサ取り付け部の隙間から熱を逃がす構造としました・・・普通は真空管の周りに穴を開けるのですが、、これは我ながらグッドアイデアと思う(笑)、、換気の効率は悪いかも?・・・。
6.部品表
参考までに部品表を次に示します。
資材費だけで2020年5月時点の価格で16,360円(税抜き)です。
出力トランス(OPT)は秋葉原にあるトランス専門店東栄変成器製を使う予定だったのですが品切れだったので、やむなく町田のサトー電気で購入しました。2号機は是非東栄変成器製にしたいと思っています・・・差があるのか、あるとすればどの程度の差なのか興味があるところです。
【御参考】
12BH7Aオーディオパワーアンプ設計編
12BH7Aオーディオパワーアンプ電気性能編
12BH7Aオーディオパワーアンプ追補
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