Jun 21, 2022

ADALM-PLUTOの使い方(応用編)

 1.  概要

#1(基本編)の続き#2(応用編)です。Pythonプログラミングにつてはちょっと置いといて一気に実際にウェブで公開されているパッケージソフトを使った実用性のあるソフトウェア無線機を紹介します。狭帯域のデジタル通信(FT8など)、画像通信(テレビなど)やデジタル変調(QAMOFDMなど)に関しては他のソフトを当ってください(笑)。

2.SDR Console(全般と受信機能)

ウェブで公開されているSDR Consoleというソフトを用いてADALM-PLUTOを使ったソフトウェア無線機を作ってみました。

Windows用のソフトウェア無線機用ソフトウェアを開発しているSDR-Radio.comのアマチュア無線家用の無料ソフトを使います。ウェブ上の場所はここです。

https://www.sdr-radio.com/

SDR Consoleのダウンロードはここからできます。

https://www.sdr-radio.com/console 

指示どおりセットアップします。

現時点での最新版はこれです。


起動するとスタート画面が現れます。

無線機はPlutoSDRを選びます・・・ってこれしかないのでこれ選びます。

(周波数レンジが0-3800MHzになっていますが、実際は70-6000MHzで送受信可能(笑)。)。帯域幅を選んでStartボタンを押します。


能力の低い古いパソコンの場合帯域は広くしない方が良いです・・・RAMが飽和してブチブチ途切れますし終いに止まってしまいます(笑)。

スタートするとこんな画面になります。

1階リビングでFM横浜(84.7MHz)がバッチシ入ります。アンテナはアマチュア無線用のホイップです。左上にあるのはSメータで受信入力端における受信電力(受信電界強度ではない)?だと思う。右端のバーで受信電力の表示範囲を設定します。ノイズフロアが一番下に来るように設定します。続いて、画面の一番上にあるメニューからReceiveを選びDSPをクリックします。

するとテレビのリモコンのようなものが現れます。上から周波数設定窓でマウスで0Hzから9.999999999GHzまで任意の周波数が設定できます(ADALM-PLUTOの場合は70MHzから6GHzの間しか送受信できません)。続いてスピーカーの音量、オーディオのスペクトル表示、IF表示窓(中心周波数微調出来ます)、モード選択窓(BC-FMとはFM放送)、あと細かい設定が出来ますが詳細は省略します。

どの程度の受信感度なのか参考になるものを次に示します。

アンテナは屋外アンテナ使用。鎌倉自宅にていずれも明瞭に受信できます。

3.送信機能

画面一番上にあるメニューからTransmitを選びDSPをクリックします。

受信の場合と同じように各種の設定ウィンドウが開きます。上から周波数設定窓、受信と送信の同期ボタン、モード設定ボタンと続き「TX」とあるのが送信ボタンです(左上にある「TX」ボタンと同じです)。マウスでこのボタンを押して送受信を切り替えます(設定によってVOXもフットスイッチも単極双投スイッチによる送受切り替えも可能です)。続いてドライブレベルで0―100%の調整が出来ます(普段送信しない時は絞っておいた方が良いと思う)。更にALCレベル、マイク関係の設定と続き変調のスペクトラム表示等があります。

ADALM-PLUTOの送信性能はどの程度のものなのか調べてみました。送信出力端における送信電力の実測値を次に示します。

公称0dBm最良ポイントで+7dBmと言われているのでそのようなデータになっているかと・・・測定は中華スペアナ(未校正・・・笑)。70MHzから6GHzの任意の周波数で送信することが出来ます(笑)。ついでにスプリアスを観測してみました。スプリアス出まくりですね・・・スペアナからもスプリアス出ていますが原理が分かっていれば識別できます(笑)。これ送信出力の波形が正弦波ではなく矩形波に近いという事ですね・・・要所要所にフィルタを入れる必要がありますね・・・でもこれって大昔の真空管送信機の逓倍と同じような使い方が出来そうですね(笑)。3.5GHzFMの電波を3逓倍して取り出せば10.5GHzのFMの電波になりますね(超笑)。

4.ソフトウェア無線機の構築例

ソフトウェア無線機を作るのはとっても簡単です・・・半世紀前の真空管無線機自作時代を彷彿とさせますね。何しろはんだ付けなんかほとんど必要ありませんしモジュールをネットで買って来て同軸ケーブルとわずかな電線(主に電源関係)で結線するだけですから。バリエーションはいっぱいあるのでここでは最終形態ではなく構築例を挙げるにとどめます・・・ネットにモジュールがあふれていますし、モジュールを組み替えればいろんな無線機に作り替えられます。

まず必要なものを次に列挙します。

ADALM-PLUTO本体

発売当初$100でしたが現在は値上がりしていて$171.45です。日本では3万円から4万円で売られています。


・パソコン

SDR Consoleのパソコンへの要求性能は下記










GB RAMでもぎりぎり動きますが厳しいです。8GB RAMならサクサク動きます。受信だけなら次のような古いパソコンでもOK。押し入れに眠っているので充分、わざわざ買う必要なし。


USBケーブル

ADALM-PLUTOに同梱されている。








・ヘッドセット

決してHiFi仕様のものなんか買わないように・・・音声だけを通すような安物でよい。













USB-RS232変換

必須ではないですが、あると便利。送受切り替えに使う。










私はアマチュア無線のCW I/Fに使っているものを流用。

次に430MHzのFMトランシーバーの構築例を示します・・・

次に5.7GHzのFMトランシーバーの構築例を示します。

5.まとめ

現在はもう部品屋さんで電子/電気部品を買って来て装置を組み立てるという時代ではなくなってきたようです。いろんな機能を持った回路ブロックを簡潔なモジュールとしてまとめてそれらを組み合わせて装置を作るという事ですか・・・。製造の標準化が可能ですし保守も楽ですしね。今は部品屋さんではなくネット上でモジュールを購入する時代になりつつあるのでしょうか・・・モジュールがネット上に溢れていますし次々と新しいのが出てきます(中古品も一杯出てます)。ちょっと買いそびれているともうネット上には無くなっていたりします(中国の零細企業の少量生産品が多い??)。まーアマチュアも無線機を自作しやすくなってきたようですし結構な時代になってきたものです! 


 

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